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陸・海軍礼式歌
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作詞 山陰樵夫

日ははや西に入り相いの
鐘は微かに聞こえつつ
ホーヘンリンデン村近き
イーザー河の音高く

流るる水は物凄く
全て新手のつわものは
新たに積もる雪の床
余念も無くぞ伏しいけり

ただ聞くものは村遠く
犬の長吠えする声ぞ
夜はいと長けて見ゆる頃
不意に打ち出す太鼓の音

すわ事ありと大将は
墨なす空の冬の夜の
暗きを照らす灯りをば
点けよ点けよと命じけり

喇叭の声や松明の
灯りに依りて速やかに
整頓したる騎馬武者は
玉散る剣抜き連れつ

手荒き馬は恐ろしく
身の毛もよだつもてなしに
与らんとや勇み立ち
いとも雄々しく嘶けり

名誉に満てる軍馬をば
敵の陣屋へ乗り入るる
音はさながら雷の
ひらめくごとく山岡も

震い崩れつ鳥羽玉の
暗夜にきらめく大砲は
千々の稲妻ぴかぴかと
眩きまでに光りけり

秋の紅葉のそれならで
唐紅に斑なす
ホーヘンリンデン丘の上に
照る稲妻はいや明く

滝つ瀬をなすイーザーの
流るる音はいや高く
殺伐悲愴の有様は
いと凄まじく見えにけり

漸く明ける朝ぼらけ
森を離るる雀色
鯨波を作りて突き進む
猛烈敢死の両軍を

真一文字に天切ろう
八重棚雲を押し分ける
差し輝ける旭つわものは
栄誉をこそは表しけり

燦たる軍旗靡かせつ
討てよ進めの号令に
勇み乗り入る軽騎隊
屍を塚に埋めんか

古今無双の軍功を
立てて名誉を博せんか
両軍既に入り混じり
たけなわとこそ見られけり

名も世に高き仏軍が
不意を打たれし口惜しき
男子と生まれし甲斐も無き
いざ諸共の身を賭して

流るる血潮にこの恥を
清く注いでくれんずと
怒り激せるつわものは
勝利の程ぞ知られけり

さしもに強き墺軍も
死を定めたる手負い獅子
いかで望みを達すべき
却って敵に逆撃たれ

降り積む雪はつわものの
屍を纏う衣ぞや
踏みとどろなす芝泥は
永く眠らん墓場なり
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