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陸・海軍礼式歌
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作詞 小室屈山


天には自由の鬼となり
地には自由の人ならん
自由よ自由やよ自由
汝と我(わ)れがその中は
天地自然の約束ぞ
千代も八千代も末かけて
此世(このよ)のあらん限りまで
二人が中の約束を
いかにぞ仇に破るべき
さはさりながら世の中は
月に村雲花に風
ままにならぬは人の身ぞ
話せば長いことながら
古(むかし)羅馬(ローマ)の国と聞く
その人民を自由にし
共和の政治を立てんため
数多(あまた)の人のうき苦労
それをも知らで欲のため
我権勢(わがけんせい)を張らんとて
再び帝位(ていい)に昇らんと
企てたりしセサルは
その親友の手にかかり
議院の中(うち)に殺されたり
その親友のいうことに
民を奴隷になさんより
寧(むし)ろセサルを殺さばや
我の羅馬(ローマ)を愛するは
親友よりも堪(たえがた)し
羅馬(ローマ)の民の望みなら
我身(わがみ)も茲(ここ)に諸共に
捨つる命はいと易し
仏蘭西(フランス)国のルイス帝
自由を圧制なさんとて
種々(しゅじゅ)に手段を廻らせど
邪道はいかに正道に
打ちかつことのあるべきぞ
民のいかりは火の如く
又洪水の溢(あふ)れ来て
岩をも砕く勢いに
いとかしこくも帝王の
黄金(こがね)をかざす冠は
断頭機械(くびきりだい)の上へ落ち
あわれはかなくなりけるは
誰を恨みん圧制の
自業自得というべけれ
英吉利(イギリス)国の革命も
同じ車の一つ轍(みち)
昨日の王は今日の賊
コロンウエルが手に持ちし
自由の旗の招きには
天をも回(めぐ)らす許(はか)りにて
チャーレス王を誅戮(ちゅうりく)し
自由の基(もと)を立てたりき
北亜米利加(きたアメリカ)の合衆国
もと英国の民なれど
其発端(そのはじまり)をたづぬれば
自由の人となりたさに
故郷の名残に気も止めず
深山(みやま)茨(いばら)はまだ愚か
人のふみてしこともなき
あお海原を打ち破り
身も知りもせぬ亜米利加(アメリカ)へ
植民なせし心根は
いかにあわれに思うらめ
然るになおも英吉利(イギリス)の
ほだしの綱は離られず
暴君汚吏(ぼうくんおり)の圧制に
詰り詰りて国の為(た)め
輸出輸入の平均や
彼に得られし商権を
取り戻さんと健気なる
胸算用の正告は
あえなく外れ幔幕の
儲けどころか埒もなく
売れば借りられ買えば損
杖と頼みし資本も子も
きえて儚く雲霞
嵐の庭は花紅葉
外に詮術なかりけり
ああ難しの世渡りや

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