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陸・海軍礼式歌
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作詞 秋花子
作曲 藤田胸三郎

闇にもしるき旅順口
黄金山の山陰に
微かにひらめく灯火は
敵の夜営か砲台か

窺い寄りし決死隊
七十七士の乗り組める
五隻の汽船は静々と
港口指して進み行く

さすがに敵も覚りけん
サーチライトを振り照らし
我が船目掛けて撃ち注ぐ
弾丸雨のごとくなり

援護の任に当たりたる
味方の水霜駆逐艦
牽制射撃を行えど
少しの効果もあらばこそ

敵はいよいよ焦りつつ
前後左右の台場より
筒先揃えて撃ち出だす
硝煙砲火の修羅の海

蛟竜怒りて波叫び
鯨躍りて水咽ぶ
万死の中を突進し
屈せず騒がぬ決死隊

帆柱挫け桁は飛び
船橋も微塵に砕かれぬ
覚悟極めし我が船は
なお奥深く進みしが

五隻の中の三隻は
自ら途中に破壊せり
残る二隻の船のみが
目的地点に達しける

半ば沈めるレトウイザン
その左右に立ち分かれ
爆裂薬に点火して
沈み果てたる凄まじさ

そのかみ米西戦争に
ホブソン大尉の試みし
港口閉鎖の壮挙さえ
思い出されて勇ましや

ただ見る白煙空を覆い
濛々獏々四顧暗阻
七十七士はいかにせし
勇士の姿今いずこ

夜は仄々と明け離れ
朝霧深き黄海の
波に漂うボートあり
漕ぎ行く主は何人ぞ

ああ天勇士を亡ぼさず
死地に入りたる人々は
敵の砲火を潜り抜け
辛くも帰り来たりけり

七十七士のその中に
仁川丸に乗り組みし
名も芳しき梅原氏
名誉の戦死を遂げたりき

哀れ世界に類無き
空前絶後の英名を
負いし七十七勇士
誉れは千代に輝かん
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作詞 旗野十一郎

ああ世々照らす日の本の
三千年以来聞きも得ず
伝えも知らぬこの時に
生まれ逢う身ぞ何の幸

ああ兄人は雄々しくも
某軍艦の砲術長
旅順の沖の一戦に
勇名四海に轟けり

ああ弟は雄々しくも
某連隊の大尉なり
今韓境にありと聞く
やがて勝利の報を得ん

ああされしからばわらわとて
心は同じ国の民
力の限り手業して
己が向き向き尽くすべし
作詞 土井晩翠
作曲 楠美恩三郎

金石鋼鉄皆湯と溶かす
旭の輝く大旗飛びぬ
ああ民ああ友
ああ我が男児
起て起て十年臥薪の極み
無道の悪民懲らさん時ぞ

万軍等しく大地を蹴って
漲る硝塵山河を消しぬ
ああ民ああ友
ああ我が男児
起て起て千載扶桑の里に
鍛えし忠魂示さん時ぞ

榴弾散弾虚空に飛びて
たじろぐ龍王千尋の波間
ああ民ああ友
ああ我が男児
起て起て八億亜細亜の民を
率いて盟主と名乗らん時ぞ
作詞 大和田建樹
作曲 瀬戸口藤吉

我が日の本に一人咲く
桜の花より芳しき
誉れを世界に示したる
壮烈無双の閉塞隊

敵の命と頼みなる
港の口に船沈め
塞ぎて敵艦
出ださじと
決行三度の大壮挙

憐れ武器をも備えざる
か弱き船を我からに
悪鬼の口に乗り入るる
身はこれ忠と勇とのみ

敵もさすがに油断なく
忽ち照らす探照灯
砲台一度に撃ち出だす
弾に海湧き天震う

見る見る舷破られて
舵砕くるも勇士等は
面も振らず突進し
静かに任務を果たしたり

かくてボートに移れども
我が艦遠く波荒く
敵弾雨より繁ければ
生きて帰るは僅かなり

ああこの勇士の魂魄は
死しても朽ちず万世に
軍の神と留まりて
皇御国や守るらん
作詞 大和田健樹 
作曲 田村虎蔵

露軍討つべし破るべし 
我等同胞四千万
一つ喉より発したる 
声は天地に響きけり

我が忠勇の軍隊が 
血を流したる遼東に
干渉したる三国の 
首謀は彼ぞ露政府ぞ

忘れはすまじ記憶せん 
我が同胞の四千万
北清事変の明日にも 
我に加えし亡状を

無礼に無礼加えたる 
鷲は次第に羽を伸して
侵略計る亜細亜の地 
討つべき時は今なるぞ

彼満洲を居ながらに 
奪らんと巧む念深く
爪牙は早も露なり 
討つべき時は今なるぞ

彼朝鮮を己が手に 
入れんと望む欲深く
奸計かくるるところなし 
討つべき時は今なるぞ

討てや破れや敵兵を 
天地開けし始めより
かつて一度も外つ国の 
侮り受けぬ我が国ぞ

我が東洋を蹂躙し 
我が国権を軽蔑し
あくまで誇るロシア軍 
平和の敵は彼なるぞ

群がり浮かぶ艦隊も 
逆巻く波の底深く
打ち沈めたる心地良さ 
はや海権は我が物ぞ

陸には満洲旅順口 
跋扈したりし敵兵を
微塵に破り退けて 
次第に進む日章旗

その旗風の吹き渡る 
ところに靡かぬ草木無く
見よやウラジオストックの 
港乗っ取る日本軍

隊伍正しく威儀猛く 
向う矢先に敵滅び
シベリア鉄道占領し 
今は乗り込む露都の街

セントピートルスボルグの 
街に露兵の影絶えて
響くは日本軍歌の譜 
天皇陛下万々歳

壮快壮快大壮快 
昇る朝日と諸共に
地球の上に照り渡る
国の威光はこの時ぞ

木魂に返す勝鬨の 
声は四海に充ち満ちて
ウラルの山の峰までも 
北氷洋の底までも
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