雨の上海

作詞　佐伯孝夫
作曲　壇六郎

雨よ泣くな上海
暮れ行くガーデンブリッジ
柳蔭ジャンクのちらちら灯り
川面に映ればクーニャンの
青い眉愁いに煙る

帰りませよ上海
君待つガーデンブリッジ
雨の唄侘しく聴きつつ一人
明日の日思えば紅の
胸の花愛しく開く

浪曲だより

作詞　堤一郎
作曲　草笛道夫

母さんお変わりないですか
僕はますます元気にて
今宵も例の浪花節
戦友達に囲まれて
一節唸ったところです

この声御国へ届くなら
せめて貴方に聞かせたい
母さん貴方の大好きな
雲月節の一節と
思って遥かな空を見る

隊長殿も戦友も
月を眺めてしんみりと
思いは遠き故郷か
それともあの日の戦いか
折から鳴き行く雁一つ

蒙橿の月

作詞　西條八十
作曲　竹岡信幸

狂い来る叫び来る砂漠の夜風
突き進む駱駝を月が照らすよ
雲よ飛べ飛べジンギスカンの
昔哀しい空の色よ

黒い髪円らな目の蒙古の乙女が
差し覗く小窓を月が照らすよ
ホロンバイルの草原越えりゃ
塩の湖が白く光る

血の色の暁が地平に昇るよ
波まろぶ砂漠に月が落ちるよ
誰が知ろうぞ男の心
剣抱いて朝を待つよ

印度の夜

作詞　西條八十
作曲　竹岡信幸

印度恋しやガンジス河に
暮れて水汲む優しの乙女
唄を歌えば花さえ眠る
青い孔雀の夜が来る

花は木蘭花散る宵も
泣いちゃいけない印度の娘
月は真ん丸葦笛冴えて
悪魔踊りの灯が招く

ゴムの葉陰に君待つ夜は
唄も優しい印度の娘
空は紫瑠璃鳥鳴いて
夢を見るよな星が出る

都都逸と兵隊

作詞　中島ひでを
作曲　飯田三郎

国を出てから一年余り
覚えた支那語の都都逸だ
戦友よ一節聴いてくれ

都都逸野暮だと文句にゃあるが
遠い戦地の月の夜に
歌う兵士の粋な事

月が本当に鏡であれば
せめてこの場のこの姿
国の親父に見せたいな