手向けの花

作詞　宮本旅人
作曲　佐渡暁夫

雪の広野を血に染めて
斃れし戦友の亡骸を
異郷の土に葬れば
風も夕陽にすすり泣く

許せ我が子も国の為
斃れし君が英霊に
手向けの花は一本の
雪の広野の枯れ薄

ここが暫しの仮の宿
降り積む雪に埋もれて
眠れる戦友の魂よ
還れ今宵は故郷へ

雪の密林

作詞　宮本吉次
作曲　鳴瀬純平

星も凍れば月さえ凍る
雪の密林ペチカを焚けば
燃える思いに燃える思いに
ララ夜は更ける

歌い疲れて心で泣いて
山の娘と酒酌み交わしゃ
人の情けが人の情けが
ララ身に沁みる

外は吹雪だ踊れよ踊れ
どうせ気紛れ浮き草暮らし
明日はあの山明日はあの山
ララ越えて行く

殉国芸術家（ああ友田恭助伍長）

作詞　島田磐也
作曲　種子島弘

ああ江南の空遠く
舞台そのまま戦場に
友田が見せし演劇は
日本男児の祖国愛

思えば涙ただ涙
予ねて覚悟の塹壕で
敵前渡河を前にして
訣別の煙草吸える君

友田よ傷は浅いぞと
戦友は抱いて名を呼べど
応えは無くてクリークの
岸辺に花が揺れるのみ

英魂永久に帰らずも
君が命の芸術は
我が新劇の名と共に
不滅の星と仰がれん

八幡船

作詞　伊藤静馬
作曲　阿部武雄

舳先の御旗は八幡菩薩
褌一本笹葉船任せ
背負えば短い三尺刃
故国も命も刀にかけて
エンヤ男の八幡船
エイヤレ漕げ漕げ
和寇の婿入り
南天竺唐オロシア
おいらが為には宝の山だよ

六韓三略おいらは知らぬ
道理通らぬ和寇の掟
敵のど真ん中刃を伏せて
油断見澄ましゃこっちのものさ
ドントかかれよ裸武士
エイヤレ漕げ漕げ
和寇の婿入り
南天竺唐オロシア
おいらが為には宝の山だよ

分捕る宝は御船に余る
鳴らせ竹法螺引き揚げ時は
さしも根性をさらりと捨てな
明日の攻め場は八幡様の
旗の流れの風任せ
エイヤレ漕げ漕げ
和寇の婿入り
南天竺唐オロシア
おいらが為には宝の山だよ

上海陸戦隊

作詞　松島慶三
作曲　海軍軍楽隊

江湾路上厳然と
空にひらめく軍艦旗
これぞ同胞三万の
命を護る陸戦隊

時八月の十三日
たちまち起こる砲声に
敢然立ちて奮戦す
霰と注ぐ敵の弾丸

敵は四面を取り囲み
砲火爆撃強襲の
術を尽くして攻むれども
何か恐れん大和魂

一死奉公この時と
締むるも堅き鉄兜
来たれ幾万敵の兵
いで一打ちに撃破せん

風に晒され雨に濡れ
不眠不休も何のその
ただ殉国の血に燃えて
戦う様ぞ勇ましき

千早の城に幾万の
敵を迎えし忠烈と
ここ江南の朝風に
偲ぶもゆかし剣太刀

寄する黒潮荒海に
鍛えし腕銃執りて
今極東の黎明に
起てる特別陸戦隊