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陸・海軍礼式歌
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作詞 南條歌美
作曲 長崎一夫

野越え山越え行き暮れて
細る我が身の影じゃやら
夕闇迫る国境の
空に瞬く一つ星

町の酒場の灯の影に
明日の運命の寂しさを
胸に隠して諦めて
弾くよ涙のバラライカ

行方定めぬ流離いに
影はやくざに窶れても
想いは恋し故郷の
谷の灯火母の声
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作詞 蒲原有明
作曲 大中寅二

牡蠣の殻なる牡蠣の身の
かくも果て無き海にして
行きの命の味気無き
その思いこそ悲しけれ

身はこれ盲目岩陰に
ただ術も無く眠れども
目覚むるままに大海の
潮の満干を覚ゆあり

いかに朝朝朝潮の
色青きみて溢るるも
黙し痛める牡蠣の身の
余りに狭き牡蠣の殻

よしや清しき夕づつの
光は波の穂に照りて
遠野が鳩の面影に
似たりと言うも何かせん
作詞 福田正夫
作曲 大村能章

浮藻咲く咲く月夜の花よ
潮来島かや飛ぶ蛍
田草船やる少女が歌う
唄は嬉しい働き者よ
田植えするにも草取るも

空は遥々筑波は青よ
潮来島かや夢心
白い襷の母さえ歌う
島の娘は気立てが良うて
にこと頬には片えくぼ

風もそよそよ撫で行く肌よ
潮来島かや水の上
帰り舟から声さえ揃う
山は筑波よ霞むは影よ
守りなされよ稲の神

光咲く咲く月夜の夢よ
潮来島かや唄の島
響け明るく微笑む声よ
嬉し月夜に棹差す唄よ
娘十五の田草船
作詞 西條八十
作曲 江口夜詩

寄せては返す荒波の
磯辺に残る墓一つ
涙の花を捧げつつ
一人の乙女の語るよう

もとこの兄は向陵の
黒髪長き一秀才
星の瞳の気高さに
世に謳われし美青年

皇国の為に学を捨て
国境警備の満蒙や
憎や不逞の赤賊の
弾丸に命を失いぬ

父母の嘆き血の涙
世界の仇の共産軍
ああいつの日か我が兄の
恨みを彼に報うべき

涙で濡れし双の眼に
乙女が睨む満蒙の
空は遥かに夕焼けて
仇波高く飛ぶ鴎
作詞 野村俊夫
作曲 鈴木哲夫

夕陽は赤く空を焼き
風は哀しく胸を打つ
夢に燃えつつ別れ来し
遠き故郷は今いかに

五尺の体血は湧きて
流れ行く身は厭わねど
濡れる瞼に浮かび来る
父母の姿に我は泣く

馬賊の唄も高らかに
広野遥々駈ける時
空のかなたに聞こゆるは
夢に忘れぬ母の声
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