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陸・海軍礼式歌
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作詞 佐戦児
作曲 田中穂積

如何に狂風吹き巻くも 
如何に怒濤は逆巻くも 
たとえ戦艦多くとも 
何恐れんや義勇の士 
大和魂充ち満つる 
我等の眼中難事無し

維新この方訓練の 
技量試さん時ぞ来ぬ 
我が帝国の艦隊は 
栄辱生死の波分けて 
渤海湾内乗り入りて 
撃ち滅ぼさん敵の艦

空飛び翔ける砲丸に 
水より踊る水雷に 
敵の艦隊見る内に 
皆々砕かれ粉微塵 
艫より舳より沈みつつ 
広き海原影も無し

早くも空は雲晴れて 
四方の眺めは波ばかり 
余りに脆し敵の艦 
この戦いは物足らず 
大和魂充ち満つる 
我等の眼中難事無し
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作詞 大和田 建樹
作曲 瀬戸口 藤吉

月は隠れて海暗き
二月四日の夜の空
闇を標に探り入る
我が軍九隻の水雷艇

目指す敵艦沈めずば
生きて帰らじ退かじ
手足は弾に砕くとも
指は氷に千切るとも

朧げながらも星影に
見ゆるは確かに定遠号
いざ一討ちと勇み立つ
将士の心ぞ勇ましき

たちまち下る号令の
下に射出す水雷は
天地も震う心地して
目指す旗艦に当たりたり

走る稲妻打つ霰
襲わば襲え我艦を
神はいかでか義に背く
敵の勝利を護るべき

見よ定遠は沈みたり
見よ来遠は沈みたり
音に響きし威海衛
早や我が物ぞ我が土地ぞ

ああ我が水雷艇隊よ
汝の誉は我が軍の
光と共に輝かん
かかる愉快はまたやある

敵の関門破れたり
敵の海軍亡びたり
我指す処は今は早や
四百余州も何ならず
作詞 佐々木信綱
作曲 奥好義

煙も見えず雲も無く 
風も起こらず波立たず
鏡のごとき黄海は 
曇り初めたり時の間に

空に知られぬ雷か 
波にきらめく稲妻か
煙は空を立ち込めて 
天津日影も色暗し

戦い今かたけなわに 
務め尽せるますらおの
尊き血もて甲板は 
唐紅に飾られつ

弾丸の破片の飛び散りて 
数多の傷を身に負えど
その玉の緒を勇気もて 
繋ぎ止めたる水兵は

間近く立てる副長を 
痛む眼に見とめけん
彼は叫びぬ声高に 
「まだ沈まずや定遠は」

副長の眼は潤えり 
されども声は勇ましく
「心安かれ定遠は 
戦い難くなし果てき」

聞きえし彼は嬉しげに 
最後の微笑を漏らしつつ
「いかで仇を討ちてよ」と 
言う程も無く息絶えぬ

「まだ沈まずや定遠は」 
この言の葉は短きも
皇国を思う国民の 
胸にぞ長く記されん


副艦長の過ぎ行くを 
痛む眼にみとめけん
苦しき声を張り上げて 
彼は叫びぬ副長よ

呼び止められし副長は 
彼のかたえに佇めり
声を絞りて彼に問う 
まだ沈まずや定遠は

皇国に尽くす皇軍の 
向かう所に敵も無く
日の大御旗うらうらと 
東の洋を照らすなり
作詞 中村秋香
作曲 多梅雅

硝煙みるみる山をなし
砲弾あたかも電に似たり
波は激しく天を衝き
日光暗黒風咽ぶ
ああ恐ろしや凄まじや
これぞ真の修羅の海

縦横自在に駆け巡る
神変不測の松島艦
蛟は躍り鰐怒る
波を蹴破る西京丸
奮闘激戦雷を繰り
電を劈く赤城艦

轟裂の響き天を撃ち
あるいは沈みまたは焼け
または逃げ散る敵の艦
折りしも起る万々歳
凱歌の声も高千穂の
帆柱さして下る鷹
明治天皇 御歌
作曲 田中穂積 

頃は菊月半ば過ぎ
我が帝国の艦隊は
大同江を船出して
敵の在処を探りつつ
目指す所は大孤山
波を蹴立てて行く路に
海洋島のほとりにて
彼の北洋の艦隊を
見るより早く開戦し
あるいは沈めまたは焼く
我が砲撃に彼の艦は
跡白波と消え失せり
忠勇義烈の戦いに
敵の気勢を打ち砕き
我が日の旗を黄海の
波路に高く輝かし
勲をなして勇ましく
各艦共に揚げ競う
凱歌は四方に響きけり
凱歌は四方に響きけり
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