忍者ブログ
陸・海軍礼式歌
* admin *
[333]  [334]  [335]  [336]  [337]  [338]  [339]  [340]  [341]  [342
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

作詞 鍵谷徳三郎
作曲 安田俊高

(上)
遼陽城頭夜は明けて
有明月の影凄く
霧立ち込むる高梁の
中なる塹壕声絶えて
目覚めがちなる敵兵の
胆驚かす秋の風

我が精鋭の三軍を
迎撃せんと健気にも
思い定めて敵将が
集めし兵は二十万
防御至らぬ隅も無く
決戦すとぞ聞こえたる

時は八月末つ方
我が策略は定まりて
総攻撃の命下り
三軍の意気天を衝く
敗残の将いかでかは
正義に敵する勇あらん

「敵の陣地の中堅ぞ
まず首山堡を乗っ取れ」と
三十日の夜深く
前進命令たちまちに
下る三十四連隊
橘大隊一線に

漲る水を千尋の
谷に決する勢いか
巌を砕く狂瀾の
躍るに似たる大隊は
彩雲棚引く明の空
敵塁近く攻め寄せぬ

かくと覚りし敵塁の
射注ぐ弾の烈しくて
先鋒数多斃るれば
隊長怒髮天を衝き
「予備隊続け」と太刀を振り
獅子奮迅と馳せ登る

剣戟摩して鉄火散り
敵の一線まず破る
隊長咆吼躍進し
卒先塹壕飛び越えて
閃電敵に切り込めば
続く決死の数百名

敵頑強に防ぎしも
遂に堡塁を奪い取り
万歳万里日の御旗
朝日に高く翻し
刃を拭う暇も無く
彼れ逆襲の鬨の声

十字の砲火雨のごと
拠るべき地物更に無き
この山上に篠衝けば
一瞬変転ああ悲惨
伏屍累々山を被い
鮮血なみなみ壕に満つ

折しも喉を打ち抜かれ
倒れし少尉川村を
隊長自らひっ下げて
壕の小蔭に繃帯し
再び向う修羅の道
ああ神なるか鬼なるか

名刀関の兼光が
鍔を砕きて弾丸は
腕を削り更にまた
続いて打ち込む四つの弾
血煙さっと上れども
隊長更に驚かず

厳然として立ち止まり
なお我が兵を励まして
「雌雄を決する時なるぞ
この地を敵に奪わるな
とく打ち払へこの敵」と
天にも響く下知の声

衆を頼める敵兵も
雄叫び狂う我が兵に
突き入りかねて色動き
浮足立てし一刹那
爆然敵の砲弾は
裂けぬ頭上に雷のごと

辺りの兵に浴びせつつ
弾は霰とた走れば
打ち倒されし隊長は
「無礼ぞ奴」と力込め
立たんとすれど口惜しや
腰は破片に砕かれぬ

「隊長傷は浅からず
暫しここに」と軍曹の
壕に運びて労わるを
「否見よ内田浅きぞ」と
戎衣を脱げば紅の
血潮淋漓迸る

中佐は更に驚かで
「隊長我はここにあり
受けたる傷は深からず
日本男子の名を思い
命の限り防げよ」と
部下を励ます声高し

寄せては返しまた寄する
敵の新手を幾度か
打ち返ししもいかにせん
味方の残兵少なきに
中佐は更に命辛く
「軍曹銃を執って立て」

軍曹やがて立ち戻り
「辛くも敵は払えども
防ぎ守らん兵無くて
この地を占めん事難し
後援来たるそれまで」と
中佐を負いて下りけり

屍踏み分け壕を跳び
刀を杖に岩を越え
ようやく下る折も折
虚空を摩して一弾は
またも中佐の背を抜きて
内田の胸を破りけり

(下)
嗚呼々々悲惨参の極
父子相抱く如くにて
共に倒れし将と士が
山川震う勝鬨に
息吹き返し見返れば
山上既に敵の有

飛び来る弾の繁ければ
軍曹再び起き上り
無念の一涙払いつつ
中佐を扶けて山の影
辿り出でたる松林
僅かに残る我が味方

阿修羅の如き軍神の
風発叱咤今絶えて
血に染む眼打ち開き
日出づる国の雲千里
千代田の宮を伏し拜み
中佐畏み奏すらく

「周太がかつて奉仕せし
儲の君の畏くも
生れ給いし良きこの日
逆襲受けて遺憾にも
将卒数多失いし
罪はいかでか逃るべき

さはさりながら武士の
とり佩く太刀は思うまま
敵の血汐に染めにけり
臣が武運は目出度くて
只今ここに戦死す」と
言々悲痛声凛凛

中佐は更に顧みて
「我が戦況は今いかに
連隊長は無事なるか」
「首山堡既に手に入りて
関谷大佐は討ち死に」と
聞くも語るも血の涙

我が凱歌の声微か
四辺に銃の音絶えて
夕陽遠く山に落ち
天籟闃寂静まれば
闇の帳に包まれて
辺りは暗し小松原

朝な夕なを畏くも
打ち誦じたる大君の
勅諭のままに身を捧げ
高き尊き聖恩に
答え奉れる隊長の
終焉の床に露寒し

負いし痛手の深ければ
情け手厚き軍曹の
心尽くしも甲斐なくて
英魂此処に止まらねど
中佐は過去を顧みて
終焉の笑を漏らしけん

君身を持して厳なれば
挙動に規矩を失わず
職を奉じて忠なれば
功績常に衆を抜き
君交わりて信なれば
人は鑑と敬いぬ

忠肝義胆才秀で
勤勉刻苦学勝れ
情は深く勇を兼ね
花も実もある武士の
君が終焉の言には
千載誰か泣かざらん

花潔く散り果てて
護国の鬼と盟いてし
君軍神と奉られぬ
忠魂義魂後の世の
人の心を励まして
武運は永久に尽きざらん

国史伝うる幾千年
ここに征露の師を起す
史繙きて見る毎に
我が日の本の国民よ
花橘の香りにも
偲べ軍神中佐をば
PR
作詞 大和田建樹
作曲 深沢登代吉

(出陣)
天に代わりて不義を討つ
忠勇無双の我が兵は
歓呼の声に送られて
今ぞ出で立つ父母の国
勝たずば生きて帰らじと
誓う心の勇ましさ

(斥候)
或いは草に伏し隠れ
或いは水に飛び入りて
万死恐れず敵情を
視察し帰る斥候兵
肩に懸れる一軍の
安危はいかに重からん

(工兵)
道無き道に道をつけ
敵の鉄道打ち毀ち
雨と散り来る弾丸を
身に浴びながら橋架けて
我が軍渡す工兵の
功労何にか例うべき

(砲兵)
鍬取る工兵助けつつ
銃取る歩兵助けつつ
敵を沈黙せしめたる
我が軍隊の砲弾は
放つに当たらぬ方もなく
その声天地に轟けり

(歩兵)
一斉射撃の銃先に
敵の気力を怯ませて
鉄条網もものかわと
躍り越えたる塁上に
立てし誉れの日章旗
皆我が歩兵の働きぞ

(騎兵)
撃たれて逃げ行く八方の
敵を追い伏せ追い散らし
全軍残らず打ち破る
騎兵の任の重ければ
我が乗る馬を子のごとく
労わる人もあるぞかし

(輜重兵)
砲工兵騎の兵強く
連戦連捷せし事は
百難冒して輸送する
兵糧輜重の賜物ぞ
忘るな一日遅れなば
一日弛とう兵力を

(衛生隊)
戦地に名誉の負傷して
収容せらるる将卒の
命と頼むは衛生隊
一人味方の兵のみか
敵をも隔てぬ同仁の
情けよ思えば君の恩

(凱旋)
内には至仁の君いまし
外には忠武の兵ありて
我が手に握りし戦捷の
誉れは正義の勝鬨ぞ
謝せよ国民大呼して
我が陸軍の勲功を

(平和)
戦雲東に治まりて
昇る朝日と諸共に
輝く仁義の名も高く
知らるる亜細亜の日の出国
光目出度く仰がるる
時こそ来ぬれいざ励め
作詞 落合 直文
作曲 好楽居士

白雪深く降り積もる
八甲田山の麓原
吹くや喇叭の声までも
凍るばかりの朝風を
物ともせずに雄々しくも
進み出でたる一大隊

田茂木野村を後にして
踏み分け登る八重の坂
雪はますます深うして
橇も動かぬ夕ま暮れ
せんなくそこに露営せり
人は氷柱の枕して

明くるを待ちてまた更に
前へ前へと進みしが
御空の景色物凄く
たちまち日影掻き暗し
行くも帰るも白雪の
果ては道さえ失いぬ

雪降らば降れ我々の
勇気をここに試しみん
風吹かば吹けさりとても
行く所まで行かでやは
さは言え今は道も無し
あわれいずこぞ田代村

君の為には鬼神も
取り拉ぐべきますらおも
国の為には火水にも
入らば入るべきもののふも
今日の寒さはいかにせん
零下を下る十八度

身を切るばかり寒ければ
またも露営と定めしが
薪の無きをいかにせん
食のあらぬをいかにせん
背嚢銃身焚きつれど
そもまた尽きしをいかにせん

雪のこの夜の更け行きて
寒さいよいよ勝りたり
凍え凍えて手の指の
見る見る落ちし者もあり
神いまさぬかあな哀れ
命迫れり刻の間に

居ながら死なんそれよりは
いずこなりへと行き見んと
山口少佐を初めとし
二百余人のつわものが
別れ別れに散り散りに
辿り行きけり雪の道

ウラルの山の朝吹雪
吹かれて死ぬるものならば
シベリア原の夜の雪
埋もれて死ぬるものならば
笑み含みてもあるべきに
ああ哀れなり決死隊

ここの谷間に岩陰に
儚く倒れしその人を
問い弔えば生臭き
風いたずらに吹き荒れて
恨みは深し白雪の
八甲田山の麓原
作詞 塩田環
作曲 永井建子

アムール河の流血や
凍りて恨み結びけん
二十世紀の東洋は
怪雲空に蔓延りつ

コサック兵の剣戟や
怒りて光散らしけん
二十世紀の東洋は
荒波海に立ち騒ぐ

満清既に力尽き
末は魯縞も穿ち得で
仰ぐは一人日東の
名も芳しき秋津島

桜の匂い衰えて
皮相の風の吹き荒び
清き流れを汚しつつ
沈滞ここに幾春秋

向ヶ丘の健男児
虚声偽涙をよそにして
照る日の影を仰ぎつつ
自治領建てて十一年

世紀新たに来れども
北京の空は山嵐
さらば兜の緒を締めて
自治の本領顕さん
作詞 土井晩翠
作曲 不詳

祁山悲秋の風更けて
陣雲暗し五丈原
零露の文は茂くして
草枯れ馬は肥ゆれども
蜀軍の旗光無く
鼓角の音も今静か
丞相病あつかりき

清渭の流れ水痩せて
咽ぶ非情の秋の声
夜は関山の風泣いて
暗に迷うか雁が音は
令風霜の威も凄く
守る諸営の垣の外
丞相病あつかりき

帳中眠り微かにて
短檠光薄ければ
ここにも見ゆる秋の色
銀甲堅く鎧えども
見よや待衛の面影に
無限の愁い溢るるを
丞相病あつかりき

風塵遠し三尺の
剣は光曇らねど
秋に傷めば松柏の
色も自ずと移ろうを
漢騎十萬今更に
見るや故郷の夢いかに
丞相病あつかりき

夢寝に忘れぬ君王の
今際の御言畏みて
心を焦がし身を尽くす
暴露の務め幾年か
今落葉の雨の音
大樹一度倒れなば
漢室の運はたいかに
丞相病あつかりき

四海の波瀾治まらで
民は苦み天は泣き
いつかは見なん太平の
心のどけき春の夢
群雄立ちてことごとく
中原鹿を争うも
誰か王者の師を学ぶ
丞相病あつかりき

末は黄河の水濁る
三代の源遠くして
伊周の跡は今いずこ
道は衰え文斃れ
管仲去りて九百年
楽毅滅びて四百年
誰か王者の治を思う
BACK NEXT
ブログ内検索
カテゴリー
忍者ブログ // [PR]

template ゆきぱんだ  //  Copyright: 陸・海軍礼式歌 All Rights Reserved