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陸・海軍礼式歌
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作詞 物集高見


王政復古昔日を
思えば凄し慶應の
みとせの冬の十二月
九日の日を始めにて
都の空に立ち返る
春の光もぬばたまの
世はありごんもと乱れつつ

黒白も分かぬ黒染めの
鞍馬に響く鬨の声
鎧の袖に輝くや
星の位も三台の
影薄れゆくさしざしの
暁暗き鳥羽伏見
大内山の山嵐に
錦の御旗翻し
大将軍のいでましに
勇気いや増すますらおが
軍よばいも雷を
轟き渡る修羅の道
斬りつ斬られつ阿鼻叫喚
血潮に染まる紅葉の
赤き心をとりどりに
倒れ重なる屍は
敵か味方か彼は誰れ

踏みしだきゆく戦場の
習い常なき露の身と
翳す剣の束の間も
君を忘れぬもののふの
道の果てこそ憐れなれ

天地も動く震動に
炎逆巻く淀の城
覆える雲の忽ちに
煙の末の陽炎も
消えて始まる君が代の
のどけき春にうちまどい
昔話と過ぎし世を
語りつつ酌む杯に
老いたる影も且つ見ゆる
この宴こそ楽しけれ
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