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陸・海軍礼式歌
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作詞 小笠原長生


雲か霞か凄まじや
砲煙海を閉ざしつつ
秋の日影も朧なり
入り乱れたる敵味方
合わせて二十八艦の
中にも目立つ松島は
定遠鎮遠打ち望み
真一文字に進みたり
艦の上にきっと立ち
剣打ち振り声限り
撃てや撃てよと令掛くる
まだ年若き武士の
その名を聞けば志摩大尉
猛く雄々しき波とても
ものの哀れは知るなかれ

君恩重く身は軽き
忠義の二字に父母も
妻子も跡に振り捨てつ
ただ敵軍を破らんと
鋭き眼見開きて
睨みつめたる定遠の
三十サンチの弾丸は
無残や百余の兵士は
骨肉微塵に飛び散りて
前後左右に倒れたり
大尉は鮮血を浴びつつも
更に恐るる気色もなく
いで我が部下の敵をば
とりて忠義の魂を
慰めやらんと続け撃ち
釣瓶掛けたる勢いに
さすがに堅き定遠も
火災を起こし逃げゆくを
なおも追い撃つ時も時
またも飛び来る一弾は
撃たれて大尉は波の中
浮きつ沈みつ流れ行く
されども鍛えし鉄石の
大和心の一筋に
御国を思う外はなく
片手を揚げて軍帽を
高く打ち振り叫びたり
日本帝国万歳と
この一言を名残にて
彼は果敢なくなりにけり

艦に残りし人々は
大尉の最期を眺めつつ
日本武士の鑑ぞと
今も語り伝えぬる
かかる忠義の人々が

一心こりて敵軍は
破れ砕けて影もなく
旭の御旗輝けり
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