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陸・海軍礼式歌
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作詞 小中村義象
作曲 納所弁次郎

鶏の林に風立ちて
行き来の雲の脚早し
吉野浪速秋津島
探る牙山の道すがら
七月二十有五日
暁深く立つ霧の
仄かに見ゆる敵艦は
名に負う済遠広乙号

彼より撃ち出す弾丸に
怒るは人と神のみか
波さえ荒ぶる豊島海
我が軍いかでか躊躇わん
互いに戦う程も無く
逃ぐるやいずこ彼の二艦
追えども追えども散り散りに
行方も知らずになりにけり

たちまち見ゆる二艘の艦
牙山を指して急ぐなり
勝ちに乗りたる我が艦の
進み進みて止まりけば
白旗高く差し立てて
先ずこそ降れ操江号
撃ち出す我が砲一発に
高陞号は沈めたり

折りしも波風治まりて
清き喇叭の声起こり
東の空を仰ぎつつ
世界を動かす勝鬨は
天皇陛下万々歳
日本海軍万々歳
この勇ましき勝鬨ぞ
征清軍の初めなる
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作詞 大和田健樹
作曲 小山作之助

四面海もて囲まれし
我が「敷島」の「秋津洲」
外なる敵を防ぐには
陸に砲台海に艦

屍を波に沈めても
引かぬ忠義のますらおが
守る心の甲鉄艦
いかでか容易く破られん

名は様々に分かれても
立つる勲は「富士」の嶺の
雪に輝く「朝日」影
「扶桑」の空を照らすなり

君の御稜威の「厳島」
「高千穂」「高雄」「高砂」と
仰ぐ心に比べては
「新高」山もなお低し

「大和」魂一筋に
国に心を「筑波」山
「千歳」に残す芳名は
「吉野」の花もよそならず

「千代田」の城の千代かけて
色も「常磐」の「松島」は
雪にも枯れぬ「橋立」の
松諸共に頼もしや

海国男児が「海門」を
守る心の「赤城」山
「天城」「葛城」「摩耶」「笠置」
浮かべて安し我が国は

「浪速」の海の芳しく
「竜田」の紅葉美しく
なおも「和泉」の潔き
誉れは「八島」の外までも

「朧」月夜は「春日」なる
「三笠」の山に差し出でて
「曙」降りし「春雨」の
晴るる嬉しき朝心地

「朝霧」晴れて「朝潮」の
満ち来る「音羽」「須磨」「明石」
忘るなかるる風景も
よそに優れし我が国を

事ある時はもののふの
身も「不知火」の「筑紫」潟
尽せや共に「千早」ぶる
神の守りの我が国に

「吾妻」に広き「武蔵」野も
「宮古」となりて栄え行く
我が「日進」の君が代は
「白雲」蹴立つる「天竜」か

大空高く舞い翔る
「隼」「小鷹」「速鳥」の
早き羽風に払われて
散る「薄雲」は跡も無し

鳴る「雷」も「電」も
ひと「村雨」の間にて
「東雲」晴るる「叢雲」に
交じる「浅間」の朝煙

今も「霞」の「八雲」立つ
「出雲」「八重山」「比叡」「愛宕」
「磐手」「磐城」「鳥海」山
それより堅き我が海軍

「対馬」「金剛」「宇治」「初瀬」
皆我が歴史のあるところ
「豊橋」かけて「大島」に
渡る利器こそこの船よ

敵艦近く現われば
「陽炎」よりも速やかに
水雷艇を突き入れて
ただ「夕霧」と砕くべし

「暁」寒き山颪
「漣」立てて「福竜」の
群がる敵を退けん
勲は全て我にあり

護れや日本帝国を
万々歳の後までも
「鎮遠」「済遠」「平遠」艦
「鎮東」「鎮西」「鎮南」艦

輝く国旗差し立てて
海外万里の外までも
進めや「鎮北」「鎮中」艦
進めや「鎮辺」「操江」艦
作詞 外山正一
作曲 山田源一郎

朝日に輝く日の丸の旗
ひらめく皇国の軍艦共よ
千島の果てより沖縄までも
開闢この方異国の敵に
一度も今まで汚されざりし
尊き海岸守れや守れ
敵の軍艦幾百あるも
千尋の底へと沈めてしまえ

亜細亜に又なきこの島国に
天の恵みで生まれし者は
幼き時より海には慣れて
暴風も恐れず波にも怖じず
我をば攻めんとする者あらば
武勇を振るい怒涛の中に
寄せ来る敵艦幾百あるも
千尋の底へと沈めて見せん

風吹き波立つ嵐の時も
国家の為には沖へと出て
命を惜しまぬ日本男児
何ぞや恐れん敵の軍艦
波をば枕に死ぬるも覚悟
君あり国あり又墳墓あり
寄せ来る敵艦幾百あるも
千尋の底へと沈めて見せん

折りしも海風吹き起くる
大筒小筒のその音に
旅順口の戦いか
渤海湾の争いか
行けやいざ行けいざ兵士
いざとく行けやいざ兵士
一度も今まで穢されざりし
貴き海岸守れや守れ
寄せ来る敵艦幾百あるも
千尋の底へと沈めてしまえ

弱き船にて大海渡り
異国の海岸荒らして回り
鬼海なるぞと呼ばれし者は
大胆不敵の汝の祖先
彼より受けたる武勇を以て
天晴れ守れや我が神国を
寄せ来る敵艦幾百あるも
千尋の底へと沈めて見せん

水雷大砲鋼鉄艦を
自由に扱う非凡の手練
皇国に仇なす敵のあれば
万里を隔てる国なりとても
一々汝の力で懲らし
国旗の威厳と天下に示せ
寄せ来る敵艦幾百あるも
千尋の底へと沈めてしまえ
作詞 サトウハチロー
作曲 古賀政男

憎き翼が汚す祖国の青空
怒り心に湧き立ち握る拳ぞ
見よ無礼な姿
敵の翼をば残らず折るぞ
近き日この敵を

赤く燃えてる空を遥かに眺めて
母と我との誓いぞ熱き力ぞ
あの炎の色を
胸に焼付けて必ず討つぞ
近き日この敵を

家は吹き飛び散りて野原となるとも
堅き思いは消えぬぞ滾る血潮ぞ
聴けアメリカの鬼
次はそちらだぞ我等は行くぞ
近き日この敵に
作詞 真巽久信
作曲 山田耕作

刃も凍る北海の
御盾と立ちて二千余士
精鋭挙るアッツ島
山崎大佐指揮を執る

時これ五月十二日
暁込むる霧深く
突如と襲う敵二万
南に迎え北に撃つ

陸海敵の猛攻に
我が反撃は火を吐けど
巨弾は落ちて地を抉り
山容ために改まる

血戦死闘十八夜
烈々の士気天を衝き
敵六千は屠れども
我また多く失えり

火砲は全て砕け飛び
僅かに銃剣手榴弾
寄せ来る敵と相撃ちて
血潮は花と雪を染む

一兵の援一弾の
補給を乞わず敵情を
電波に託す二千キロ
波頭に映る星寒し

折柄拝す大御言
生死問わぬますらおが
ただ感激の涙呑む
降りしく敵の弾丸の中

他に策無きにあらねども
武名はやわか汚すべき
傷病兵は自決して
魂魄共に戦えり

残れる勇士百有余
遥かに皇居伏し拝み
敢然鬨と諸共に
敵主力へ玉砕す

ああ皇軍の神髄に
久遠の大義生かしたる
忠魂の跡受け継ぎて
撃ちてし止まん醜の仇
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