不詳
見渡す海は緲々と
見渡す陸は茫々と
南洋得有の猛熱に
焼かれて炎威最と強き
中を苦とせず優々に
朝日に光る日の丸の
御旗を立てつ数十の
艦隊共に舳艫をば
並べて進む光景は
これぞこれこれ帝国の
新版図にぞ属したる
台湾島を治めんと
総督始め部下の士が
鷄龍港へ向かわると
最も勇まし進軍ぞ
愚蒙愚昧の蕃族等
劉永福を将となし
妄に干矛擁しつつ
我が皇軍の大恵を
無にせんものと無体にも
条理の迂き奴等は
劉永福の姦策に
心迷うて我先と
鷄龍港の砲台を
また無き者と頼みつつ
児戯に等しきもちなして
我が皇軍の上陸を
防がんものと逸早く
砲門開き不敬にも
我が軍目掛け発砲す
夏の虫にも劣りたる
蕃族共が砲撃を
見つつ笑いつ悠然と
応戦なしつ港内へ
躍り入りたる我が勇士
見る間に敵と皆殺す
苦なく砲台乗り取って
ここに全軍鷄龍へ
上陸なして逸早く
本拠をここに定められ
台湾首府と構えなそ
台北府へと進軍し
雲霞の如く集まれる
蕃族共を一撃の
下に倒して満金の
大捷奏し台北の
城壁高く悠然と
世界に光る日の丸の
御旗を立つ共々に
高く凱歌を唱えらる
見渡す海は緲々と
見渡す陸は茫々と
南洋得有の猛熱に
焼かれて炎威最と強き
中を苦とせず優々に
朝日に光る日の丸の
御旗を立てつ数十の
艦隊共に舳艫をば
並べて進む光景は
これぞこれこれ帝国の
新版図にぞ属したる
台湾島を治めんと
総督始め部下の士が
鷄龍港へ向かわると
最も勇まし進軍ぞ
愚蒙愚昧の蕃族等
劉永福を将となし
妄に干矛擁しつつ
我が皇軍の大恵を
無にせんものと無体にも
条理の迂き奴等は
劉永福の姦策に
心迷うて我先と
鷄龍港の砲台を
また無き者と頼みつつ
児戯に等しきもちなして
我が皇軍の上陸を
防がんものと逸早く
砲門開き不敬にも
我が軍目掛け発砲す
夏の虫にも劣りたる
蕃族共が砲撃を
見つつ笑いつ悠然と
応戦なしつ港内へ
躍り入りたる我が勇士
見る間に敵と皆殺す
苦なく砲台乗り取って
ここに全軍鷄龍へ
上陸なして逸早く
本拠をここに定められ
台湾首府と構えなそ
台北府へと進軍し
雲霞の如く集まれる
蕃族共を一撃の
下に倒して満金の
大捷奏し台北の
城壁高く悠然と
世界に光る日の丸の
御旗を立つ共々に
高く凱歌を唱えらる
不詳
想い起すも涙かな
頃は明治の二十八
清国既に和を結び
台湾島は我が領と
成しを無智の土民共
龍車に向かう蟷螂の
それかあらぬか健気にも
弓矢を取りて立ちにける
その討伐の大命を
陸軍中大勲位
北白川の宮殿下
近衛師団の長として
恐れ多くも九重の
竹の園生の御身にて
士卒を率い敵国の
三貂角に御上陸
頃しも炎熱焼く如く
日にも恐れず征軍を
馬にも召さず草鞋を
穿つて進む三貂嶺
降り来る雨は篠をつく
中もいとわぜ賜いらず
士卒は為に感激し
涙に征衣を濡らしける
草履いかに猛くとも
難なく台北占領し
七月新竹陥いれ
明くる八月彰化府や
嘉義台南を平定し
勇みに勇む近衛兵
それ水無月の末つかた
台南指して進みける
修羅の巷の習いとて
或いは野に伏し山に伏し
またある時は馬蹄にも
懸らぬ峻険踏み越えて
暫しと憩う時の間も
心を配る敵の国
今日も荒野に夜もすがら
鎧も解かで仮枕
嗚呼痛わしや中将の
宮は玉枝の貴も
士卒と共に艱難を
召されて遂に御不例の
身さえ養う暇なく
担架に召され全軍の
指揮をなされつ進軍す
時これ八月末つかた
鬼を挫ぐ勇あるも
進む病気に勝るべき
臣下の人々恐縮し
御帰朝進め奉る
宮には任務を重きとし
遂に聞き入れ賜いらず
台南降ると聞き召し
笑をもらして御臨終
ああ慈なの御事や
さは去りながら国の為
我が大君の御為に
尽くし賜いし功しは
忠烈偉勲今もなお
大和島根の鎮めぞと
仰がぬ民はなかりけり
仰がぬ民はなかりける
想い起すも涙かな
頃は明治の二十八
清国既に和を結び
台湾島は我が領と
成しを無智の土民共
龍車に向かう蟷螂の
それかあらぬか健気にも
弓矢を取りて立ちにける
その討伐の大命を
陸軍中大勲位
北白川の宮殿下
近衛師団の長として
恐れ多くも九重の
竹の園生の御身にて
士卒を率い敵国の
三貂角に御上陸
頃しも炎熱焼く如く
日にも恐れず征軍を
馬にも召さず草鞋を
穿つて進む三貂嶺
降り来る雨は篠をつく
中もいとわぜ賜いらず
士卒は為に感激し
涙に征衣を濡らしける
草履いかに猛くとも
難なく台北占領し
七月新竹陥いれ
明くる八月彰化府や
嘉義台南を平定し
勇みに勇む近衛兵
それ水無月の末つかた
台南指して進みける
修羅の巷の習いとて
或いは野に伏し山に伏し
またある時は馬蹄にも
懸らぬ峻険踏み越えて
暫しと憩う時の間も
心を配る敵の国
今日も荒野に夜もすがら
鎧も解かで仮枕
嗚呼痛わしや中将の
宮は玉枝の貴も
士卒と共に艱難を
召されて遂に御不例の
身さえ養う暇なく
担架に召され全軍の
指揮をなされつ進軍す
時これ八月末つかた
鬼を挫ぐ勇あるも
進む病気に勝るべき
臣下の人々恐縮し
御帰朝進め奉る
宮には任務を重きとし
遂に聞き入れ賜いらず
台南降ると聞き召し
笑をもらして御臨終
ああ慈なの御事や
さは去りながら国の為
我が大君の御為に
尽くし賜いし功しは
忠烈偉勲今もなお
大和島根の鎮めぞと
仰がぬ民はなかりけり
仰がぬ民はなかりける
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